では、英語の5文型は日本語と比べてどう違うのでしょうか?
英語には5文型がありますが、日本語にはないのでしょうか?
実は、日本語にも基本4文型なるものがあります(分類によっては3文型とする考え方もあります)。この日本語4文型と英語5文型を比較してみると、より深く、5文型を理解することが出来ます。
日本語の4文型を示します。
1 | カラスが鳴く。 | 何(誰)が−どうする |
2 | 彼は先生です。 | 何(誰)が−何だ(です) |
3 | 彼はやさしいです。 | 何(誰)が−どんなだ(です) |
4 | 机の上に本があります。 | 何(誰)が−ある(いる) |
それぞれ、簡単に説明します。
1 | 何(誰)が−どうする | 主語の動作をあらわす文 |
2 | 何(誰)が−何だ(です) | 主語の名前・職業などをあらわす文(主語の名前を言い換える文) |
3 | 何(誰)が−どんなだ(です) | 主語の様子・状態をあらわす文。 |
4 | 何(誰)が−ある(いる) | 主語の存在をあらわす文。 |
これを品詞であらわすと、
1 | 何(誰)が−どうする | [名詞] が [動詞] |
2 | 何(誰)が−何だ(です) | [名詞] が [名詞] だ |
3 | 何(誰)が−どんなだ(です) | [名詞] が [形容詞] だ |
4 | 何(誰)が−ある(いる) | [名詞] が ある・ない |
*第3文型の形容詞には形容動詞も含まれます
となります。さぁ、だから...?という感じですが、まずは、我々が使っている日本語もこれらの4つのどれかに分類できるということを知っておいてください。そして、自分の使っている和文が、そのときどき、どれにあたっているかを考えてみてください。例えば、『昨日、テレビを見た。』なら、『何が−どうする』の1です(主語「私・ぼくは」の省略)。『この通りは静かだなぁ。』でしたら、3の『何が−どんなだ』というように。
日本語において、言葉を品詞に分ける練習をすると英語の文法にも強くなります。
ところで、問題はこれからです。この日本語4文型と英語5文型を比較すると、どう違うのでしょうか。これを次の表で示してみます。
日本語4文型 | 英語5文型 | ||
1 | 何(誰)が−どうする | 第1文型 | S V |
第3文型 | S V O | ||
第4文型 | S V O O | ||
第5文型 | S V O C | ||
2 | 何(誰)が−何だ(です) | 第2文型 | S V C |
3 | 何(誰)が−どんなだ(です) | ||
4 | 何(誰)が−ある(いる) | 後ほど解説 |
驚くことに、英語の第1,3,4,5文型は日本語の『何が−どうする』文なのです。5文型のうち、4つが 『何が−どうする』という文で、つまり、それらは一般動詞を用いた文ということです。
そして、日本語の『何が−何だ』、 『何が−どんなだ』は英語の第2文型にあたります。第2文型というのは、つまり、be動詞を用いた文です。
以上のように、英語の第1、3、4、5文型は『何が−どうする』文であり、第2文型は『何が−何だ』『何が−どんなだ』文で、まずは、両グループをしっかり区別することが非常に重要です。というのも、『何が−何だ』『何が−どんなだ』文では、迷わず、be動詞を使ったらいいのです。
さらに、英語5文型を日本語にしてみます。
1
|
何(誰)が−どうする |
第1文型
|
『何が−どうする』 |
第3文型
|
『何が−どうする−何を』 | ||
第4文型
|
『何が−どうする−何に−何を』 | ||
第5文型
|
『何が−どうする−何を−何と』 『何が−どうする−何を−何に』 |
||
2
|
何(誰)が−何だ(です) |
第2文型
|
『何が−何だ』 |
3
|
何(誰)が−どんなだ(です) | 『何が−どんなだ』 | |
4
|
何(誰)が−ある(いる) | 後ほど解説 |
これを見ると、日本語の『何が−どうする』という文が、英語では4つのパターンがあり、その違いは『何が−どうする』の後にあることが分かります。表にしてみるとこうです。
第1文型 | 何が | どうする | ||
第3文型 | 何が | どうする | 何を | |
第4文型 | 何が | どうする | 何に | 何を |
第5文型 | 何が | どうする | 何を | 何と |
『何が−どうする』という部分までは一緒で、それ以降が違うのです。これが英語の第1、3、4、5文型のそれぞれの違いです。
さて、保留しておいた『何が−ある(ない)』文、物や人の存在を表す文ですが、これは英語では第1文型にあたります。There is a book on the desk.また、He is in the kitchen.などの文です。『物や人の存在』をいう場合、文法的な分類は第1文型になります。ですが、ここで注目したいのは、これもbe動詞を用いるということです。
以上を要約しますと、『何が−何だ』『何が−どんなだ』『何が−ある(ない)』文はbe動詞の文であり、『何が−どうする』文以外はすべてbe動詞を用いるということ。そして、英語の第1、3、4、5文型は『何が−どうする』文であり、その違いは、“何が−どうする”以降であるということです。
補足ですが、『何が−どうする』パターンに実際に英文を当てはめてみます。
第1文型 | 何(誰)が | どうする | ||
第3文型 | 何(誰)が | どうする | 何を | |
第4文型 | 何(誰)が | どうする | 何(誰)に | 何を |
第5文型 | 何(誰)が | どうする | 何(誰)を | 何と |
第1文型 | Birds | fly. | ||
第3文型 | Mike | bought | a camera. | |
第4文型 | He | gave | me | a present. |
第5文型 | She | named | her son | Jiro. |
これを見ると、単語が順番に並んでいるだけで、日本語の『を』『に』『と』などの助詞のニュアンスがあるということが分かります。単語と単語の間には何もありません。つまり、語順(と単語の品詞)が問題だということです。
日本語の基本4文型の区別がしっかりつくようになると、英文をつくるうえでとても役立ちます。